地元菅原神社様の鳥居を作らせていただいております。
中川忠工務店の中川義仁です。
今年の10月には、高倉稲荷に11基の鳥居を新設。
そのときのブログがこちら。
そしてこの度、伊勢神宮の鳥居を新しく作ることになりました。
今回は中川大工と久保大工、若い二人が頑張ってくれています。
まずは丸太の墨付けから始めます。
“墨付け”とは、大工が木材を加工するために目印をつけていく作業のこと。
丸太の墨付けは、角材と違って丸いため少し難しいです。
墨付けができたら、“刻み”といって、文字通り墨付けした印にそって木材を刻んで(切って)いきます。
鳥居づくりは、家づくりとまた違った面白さがあります。
私も現役の大工時代に何度か作らせていただいたことがりますが、滅多にない貴重な経験で、すごく楽しかったのを覚えています。
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今の家づくりは、昔とちがって必要な大工の技術もかなり変わってきています。
昔は、家を建てるために要る木材をすべて大工が墨付けし、手刻みし、組み立てていきました。
大工が頭の中で図面を描きながら、家づくりを行っていたんです。
【若い大工は見たことがないかも?!大工が木に図面を書く、図板】
現在は、プレカットといって、あらかじめ必要な木材を必要な大きさに加工された材料が搬入されてくるのが主流。
それを図面通りに組み立てていくと、家が完成していきます。
つまり、今は大工が材料に墨付けして手刻みを行うという機会は減ってきています。
【昔ながらの大工道具、墨壺】
しかし、それは悪いことではありません。
機械が正確な寸法で材料を納品してくれることで、大工が材料を手刻みする必要がなくなり、工期短縮やコストカットにつながります。
それにかわって、今は断熱と気密という、現在の家づくりには欠かせない家の性能を向上するための大切な施工があります。
今では考えられないことですが、昔は家に断熱材を入れるということがなかった時代もあります。
しかし、今は断熱材をしっかりと入れ、気密施工を行い、できる限り家の無駄なスキマをなくすことが大変重要です。
そして、その施工は大工の腕にかかっています。
大工がひとつひとつ丁寧に断熱材をいれ、スキマを埋めるために気密テープや気密シートを丁寧に施工する。
当然、手間がかかります。
しかし、その丁寧な断熱気密施工が、冬あたたかく夏涼しい家にするためにはとても大切なんです。
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このように時の流れとともに、必要な大工の技術も変わっています。
でも、基本的な大工の技術は変わりません。
伝統的な大工の技術力でつくる鳥居、最新の高性能な家づくりのために必要な大工の施工技術。
大工は幅広く経験することで、技術力に深みを増します。
若い大工には、今の技術も、そしてこれから必要になってくる技術を常にアップデートしながら習得し続けることで、新築にもリフォームにも、いろいろな現場に対応できる大工になってほしいと思っています。
多岐に渡る経験を積み重ねることで、不測の事態にも臨機応変に対応することができるようになります。
大変貴重な鳥居を作るという機会をいただき、若い大工を指導する中で、昔ながらの大工の技術もきちんと継承していきたいと改めて感じました。
すべては、喜んでいただける誰かのために。
「あなたにお願いしたい」と思ってもらえる大工になってほしい。
私も作業場で大工の指導を行っていると、やっぱり自分は職人だなあと感じます。
大工仕事の楽しさを、現役の大工にも、これから大工を目指す方に知ってもらえたらうれしいです。
鳥居づくりも完成までしっかりと頑張りたいと思います!
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